ここんところ歯の具合がわるくて、ものを噛むと激痛に見舞われる。数年前に神経を抜いた歯だったのだけど、ここにきて感染症を起こしたらしい。もうぐらぐら。昨日やっと歯医者にいった。
歯医者ではぐらぐらなのを接着剤で固定。「もう限界の歯なので長くはもたないです」と先生。
しかし家に帰るとぢわぢわと痛みがぶり返してきた。脈に合わせて鈍痛があごにかけてズキズキ。リンパ腺が腫れている。肩と頭の経絡が激しく詰まっているのがわかり、経絡を軽くおすだけで痛い。指圧して散らそうとしたけど重症すぎて効かない。
今朝になってますます痛みは激しくなってもうこりゃたまらんと朝一番で歯医者にかけこんだ。
「もう抜くしか無い歯なのだけど、この状態の歯には麻酔が効かない。噛み合わせると痛むのだから、削って背を低くして向かいの歯と当たらないようにしておけば痛くなくなる。そうしたあとで後日抜きましょう」と医者様。
麻酔なしでガリゴリ削られた。神経を抜いてある歯とはいえ、痛くて治療に来たのに、麻酔なしで歯を削られるのはかなり痛かった。
抗生物質と痛み止めの処方箋をもらって薬局に向かった。削られた歯を舌の先で触りながら。グラグラだなぁと思った次の瞬間、ポロッとその歯は抜けてしまった。こんなに簡単に抜けるんだったら、さっきあんなに痛いのをがまんして削ったのは徒労じゃないの。そして歯が抜けるとそれまでの痛みは嘘のように消えてしまった。抜けた歯を持って歯医者に引き返した。
「膿が残っているだろうから掃除して殺菌しましょう。そのほうが治りが早いから」、歯が抜けた後を見て医者様はそういった。綿棒を歯が抜けた穴に突き刺してグリグリ……「痛いですかぁ?」と医者様。
「痛いよ!痛いよ!」と私が足をじたばたさせて叫ぶと、「じゃあ麻酔かけます」と医者様。
今度は麻酔銃を取り出し歯茎に突き立てた。かなり痛い注射でこめかみあたりまで痛みが響いてくるのと、なぜか心臓がざわざわする。脈が浅く速くなるような感じがする。最初は痛いけど麻酔なのでそのうち痛みは消える。(あれ?麻酔が効くなら、なんでさっき削るとき麻酔しなかったんだ?)。
歯が抜けた穴に綿棒をつっこんで掃除。最後に殺菌剤をぬりぬり。けれどなんの感覚もない。痛みもなにもない。麻酔は偉大だ。
歯医者を後にし薬局で薬を受け取り家に戻ったあたりで麻酔が切れた。ズッキン、ズッキンと激痛がおそってきた。歯が抜けた直後、痛みは完全に消えていたのに、なんでここにきて痛むかといえば、さっきの麻酔と消毒処理でいじくったからに決まっている。これまでで一番の痛み。つばが出てくるのに飲み込むのも気がひける。机の前で頭をかかえてしばらく身動きできなかった。痛みから気をそらせようとテレビをつけて音に注意を向けてみたりする。
薬局で受け取った痛み止めを飲もう。そう思ったが、「必ず食後にお飲みください」と書かれている。朝から痛くてなにも食べてないし。もうすぐ昼だがこの痛さではやはり食べることはできない。しかし痛みには勝てず空きっ腹で薬を飲んだ。それからも一時間くらい痛かったけど、やっとこさ落ち着いた。そしてやっと寝ることができた。
歯が抜けたら、肩や頭の経絡の痛みもすぐに消えてしまった。ものを食べても痛くない。痛みのない体のなんと幸せなことよ。ここんとこなにもする気がしなかったけど、歯に原因があったのかもしれない。抜けてしまった歯はお名残惜しいけど、慢性的な痛みや不快感は消え、とてもすがすがしい気分。やっとこさ今年をはじめられそうな気がしてきた。