
最近バーチャゴーグルがずいぶん進歩しているという。大阪・天神橋筋六丁目のディノスカフェで視線追跡型VRゴーグル“FOVE”を試した。まずは巨大遊園地につれていってくれるやつ。ジェットコースターに乗るところから始まった。ゴンドラにのってレールを上がっていく。まるで球形のスクリーンの中に自分がいるような感じで、首をまわして右を見れば隣に女の子が相席していて、左をみれば森が広がり、上を見れば青空に雲が浮いている。首をまわして後ろをみると、後ろの席にもお客が乗っている。ゴンドラが最初の急傾斜を滑り落ちていく。たしかにそれっぽい。だけども重力や加速を感じることはなく、そのとき「やっぱり映像なんだな」と我にかえるのだった。
サファリパークで目の前でライオンがボリボリとニワトリ食っている様とか、海の中で魚や亀がおよぐ様子とか、浅草寺の境内を歩き廻るやつとか、いくつかのコンテンツを観賞したが、目新しい視覚体験ではあるのだけど、VRゴーグルに映る画像のクオリティは低く、観光を楽しむという意味ではまだまだという感じだが、テレビが4Kや8Kへ移行していくように、ゴーグルの高画質化も時間の問題だろう。
次は、ポリゴンの世界に入って活動するゲーム。これは遊び方がよくわからなかったのだけど、しばらくモンスターのいる迷宮を動き回っているうちに、乗り物酔いのような気持ち悪さがやってきたのですぐにやめてしまった。
さて、こういうオモチャを手にしたからには、エロ系を試さないわけにはいかない。サンプルのコンテンツを再生すると、女優さんの顔が近い。胸がバーン、お尻がドーン、しかもたくさんの女優さんに囲まれて酒池肉林を疑似体験。
ジェットコースターからの3D映像を見せられようと、秘境を旅しようと、所詮は映像なんだけど、エロっていうのは意味が違う。エロってのは概念なの。2番の女教皇とは萌えの概念なんだな。目に見える映像の女優さんはその概念を想起させるシンボルにすぎないわけ。だから、多少、画質が悪かろうがなんだろうが、問題にはならない。(エロ写真よりエロ小説のほうが興奮するなんてこともよくある話。絵なんて飾りです。偉い人には……以下略)。VRの普及はエロによって牽引されてくのであろう。
貸してもらったFOVEは、頭に装着するためのマジックテープがへばっていて、快適に使うことが難しかった。少し重かったり、複数のケーブルが邪魔になったり、コンテンツの選択や再生はPC側で操作して、再生がはじまったらゴーグルを装着するのだが、それがまたやりにくかったりと、使い勝手はまったく洗練されていない。二時間ほど遊んで店を後にしたけど、実際の使用時間は三十分も無かった。使い方の理解やゴーグルの調整だの雑用でつぶれてしまった。
ところで、幽体離脱の体験は、VRゴーグルのリアリティをはるかに超えています。肉眼と同じかそれ以上のクオリティ。重力も加速度も皮膚感覚も、質量も再現されるほぼ完全なVRとみなすことができます。VR技術の究極的な到達点は、幽体離脱すれば想像がつくはずです。ただし、たくさんのコンテンツの中から好みのものを選ぶ、というようなことはまずできないけど。